関東土質試験協同組合
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「関東地方の地盤を知ろう!」

今回、当組合では、「関東地方の土質」についての「簡単な紹介コーナー」を設けました。お気軽にのぞいてみてくださいね。本コーナーでは、3人の仲間が登場します。お楽しみにしてください。今日は、仲間を紹介します♬。
 「なお、紹介する登場人物は、すべて架空の人物です。実際、当組合には、おりませんので連絡などを入れないようにお願いします」。それでは、紹介しますね。

  • ・新入社員の関東真理子さん
  • ・土質試験課の羽田課長さん
  • ・南大田小3年の空君

羽田課長は、当組合では、15年のベテランです。専門は、「土質工学」と「計測工学」のプロです。今年は、科学技術の応用面に携わる技術者にとって最も権威のある最高位の国家資格である「技術士(土質及び基礎)」の合格を目指して猛勉強中です。後輩の面倒見が良いと評判の課長さんです。生まれは、大田区羽田だそうです。大学は、某有名大学の土木出身とのこと。詳細はマル秘だそうです。

関東マリコさんは、本年土質試験課に入った「新人技術者」です。まだ、研修中です。土木構造物、特に橋梁が大好き・現場大好き土木ガールです。また、実験も大好きで、建設会社に入るかどうか迷った結果、当組合に入りました。よかったですね。生まれは、東京の西部「立川市」で工業高校の土木出身です。

南大田小学校3年生の空君です。当組合のお隣に住んでいます。12階建てのマンションの6階に住んでいます。学校が終わると、宿題もしないで当組合に遊びに来ます。皆の仕事を興味深く眺めています。色々質問するので、皆さん困っていますが、いやがらずに対応しています。理科と算数が得意です。将来は、建築士か医者か土木屋さんのどれかになりたいそうです。まだまだ先は長いですね。

「関東地方の土質」は、全部で12回のシリーズで、関東地方の代表的な地層や構造及び地質の土質特性や注意すべき点などをQand A の形でお話を進めたいと思います。なかには、少し小難しい内容もありそうですが、頑張って一緒に勉強しましょう。3人の仲間の他にまだ、まだ皆さんに紹介したい人がいます。追々紹介いたしますので、楽しみにしていてくださいね。
それでは、12回の中身を見てみましょう。お話を進行させる係として、私、当組合の総務係長を拝命している「土橋」です。
① 東京湾周辺の土質(有楽町層)
② 東京湾周辺の土質(七号地層)
③ 東京礫層
④ 河川周辺低地に分布する「泥炭層」
⑤ 相模層群(洪積層)、逗子層群・三浦層群(新第三紀中新世)
⑥ 下総層・上総層(洪積層から新第三紀鮮新世)
⑦ 常総粘土層・成田砂層など
⑧ 関東ローム層(立川ローム層)
⑨ 関東ローム層(武蔵野ローム層)
⑩ 関東ローム層(下末吉ローム層)
⑪ 関東ローム層(多摩ローム層)
⑫ 秩父古生層などの基盤岩層

「関東地方の土質」のスタートに当たり、記念すべき最初のお話は、当組合がある大田区大森に近い「東京湾周辺の土質」を取り上げました。私どもの組合は、羽田空港が目の先にあり、文字通り、東京湾に隣接していますから。それでは、「羽田課長」にバトンを渡します。

それでは、私から質問させて頂きますね。
関東さん、「沖積層」って用語は知っていますか?東京湾周辺では、大変有名な軟弱層があります。さて、なんと言うのでしょうか?

知っています羽田課長‼
沖積層は、地質年代が極最近の「第四紀完新世(1万年前)」から現在までに堆積した地層で、砂や粘土、シルトなどからなる軟弱層のことですよね。軟弱層は、土木では厄介な土質だと言われています。このあたりなら、多分、有楽町層のことですか?

関東さん、よく知っているね。それでは、なぜ「沖積層」と言われたかはわかります?

「沖積層」の言われですか?さっぱりわかりません。考えたことがありませんので。

「沖積層」は、「河川沿いの堆積物や洪水堆積物からなる地層」の意味が含まれているみたいだよ。
それでは、有楽町層は、地質区分としては、上部層と下部層との2つに分かれているけど、区別する意味があるのかな? N値なんかも多少違いがあるのかな?

羽田課長‼ 有楽町層が上部層と下部層とに分かれているのは、知りませんでした。N値については、学校で習いました。「N値は、重量63.5㎏のハンマーを75㎝自由落下させ標準貫入試験用のサンプラーを30㎝打ち込むのに要する打撃数を言います。また、N値の大小は、地盤の硬軟を表すとされています。」
有楽町層上部層と下部層とでは、おそらく、上部層の方が軟弱でN値も小さいと思います。残念ですけど、N値の範囲はわかりません⁈

そうか‼
 N値の定義はよく覚えていたね。素晴らしい。有楽町上部層は、「粘土・砂」が主体で、N値=1~20程度だと思うよ。下部層は、貝化石を多く含む泥層や砂をレンズ状に挟む土層で、下部には砂礫層があり、下部の砂礫層以外は、N値=0~8程度の極めて緩い土層で、土木工学上問題が多い土層と言える。関東さん、どんな問題が出るかわかる?

わかります。粘性土なら、地盤沈下、建物などの不同沈下、造成盛土のすべり破壊や側方流動、砂質土なら「液状化問題」などが大きいと思います。特に、「液状化」については、「東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)」では、関東地方で大きな被害が出たようですね。新聞やテレビでもよく報道されていましたから多少は知っています。

そうだね。東北地方太平洋沖地震では、東京湾岸や利根川下流域などで大きな被害がでているようだよ。千葉県の浦安市では、液状化により特に大きな被害が発生したようで、浦安市自治会連合会による「震災時活動報告書」には、液状化被害(中町エリアと新町エリアの被害が多いようだけど。)の状況が写真で報告されていて、その一部を紹介しましょう。(以下の4枚の写真は浦安市の東日本大震災の被害状況をまとめた浦安市自治会連合会「震災時活動報告書」から引用させて頂きました)。
 液状化による護岸の崩壊、噴泥、マンホールの浮き上がりや貯水槽の浮き上がり崩壊など激しい液状化現象があったことを物語っているね。

浦安市の場合は、特に市域の85%程度が液状化の被害を被ったとのことで、被災された方々は、大変なご苦労をされたはずだね。一日も早い「完全復旧」がなされるといいね。 さて、有楽町層の上部層と下部層では、どうやらN値については差があるように思えるけど、強度やその他の土質特性には差があるのかな?どうだい?

すぐにわからないので、調べてみます‼ 課長!「強度」って、一軸圧縮強度のことですよね?その他は、圧密降伏応力Pcなどですね。
羽田課長‼ 色々調べてみましたが、有楽町層上部層と下部層とで区分して土質特性がまとめられた事例がほとんどありません。

そうだろね。試料採取場所や土性(砂が豊富とか粘土が主体とか)によって有楽町層上部層や下部層も様々だからね。簡単にまとめられていないと思うね。有楽町層上部層・下部層を区分しないで、有楽町層全体でみれば、粘土質シルトで自然含水比が50~60%程度、一軸圧縮強度(qu)は、おおむね、qu=100~140kN/m2 程度、圧密降伏応力(P)は、おおむね、P=160~300kN/m2程度じゃないのかな?

そういえば、課長! Pc=1.6qu の関係式が記載された論文がありましたよ。名前覚えていませんけど。

えーと、そうそう、その論文は、遠藤毅・中村正明による「東京都区部の深部地盤構造とシルト層の土質特性」(土木学会論文集No.652/Ⅲ-51、185~194、2000.6)じゃなかったかい? 東京層・高砂層・江戸川層・舎人層・東久留米層・北多 摩層など52試料による一軸圧縮強度と圧密降伏応力との関係から求めた関係式が出されているのは知っているよ。

でも、関東さん、それは、有楽町層のような沖積層ではなくて、沖積層の下部層である洪積層(約200万年前~1万年前)を対象とした試料による相関式のはずだよ。今回のような「沖積層のPcとquとの関係」には、そのままは当てはまらないと思うけど。

羽田課長、よくわかりました。これからは、私たちが色々な土層で試験をして区分分けしたデータを収集し、データベース化することが大事ですね。そのためには、もっと、地域の地質や土質特性なども勉強しないとだめですね‼
頑張ります‼

関東さん、いい心がけだね。そのための勉強も大事だけど、試験を依頼してくださる方々にも試験に係る付帯事項の他に、地質名や地質年代など分類できる内容もよく記載してもらえるようにお願いしないといけないね? その結果をまとめて発表し、皆様方のお役にたたないとわが組合の存在意義がないからね。これからお互い頑張りましょう。

これで、「東京湾周辺の土質(有楽町層)」のお話は、終わりにします。羽田課長もマリコさんもまだまだお話したいようでしたが、お仕事もしないといけませんので、この辺で第1話は終了とのことです。今回は、空君が出てきませんでしたが、次回はいよいよ登場すると思います。是非とも期待してくださいね‼♬

★参考及び引用させていただいた文献や報告書
 1)大嶋和雄:「東京湾周辺の埋立地」‚ 地質ニュース432号‚ pp.50~57‚ 1990年8月.
 2)遠藤邦彦・小杉正人・菱田量:「関東平野の沖積層とその規定地形(日本大学文理学部自然科学研究所紀要‚ Vol.23.1988)」.
 3)浦安市自治会連合会:「震災時活動報告書1-3被害の概要」から被害写真等を引用.

以上


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