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「技術フォーラム2019」岡山

2019年9月12~13日、岡山市で行われました“全地連「技術フォーラム 2019」岡山” に技術部より石倉部長と小野主任が参加させていただきました。以下、小野主任による報告です。

「透水試験における変水位法と定水位法との使い分けに関する検討」という題材で発表しました。初めての発表ということで緊張しましたが、他の組合の方々にアドバイスを頂いたおかげで無事に発表を終えることが出来ました。未熟な点が多々ありましたので勉強を重ね、色々な機会で発表できるように研鑚して参ります。
(試験課 小野)



透水試験における定水位法と変水位法との使い分けに関する検討

関東土質試験協同組合  〇小野 晃裕,石倉 仁士

1.はじめに

室内透水試験には、定水位透水試験(定水位法)と変水位透水試験(変水位法)とが規定されている。両試験法は、透水係数k=1.0×10-5m/sを目安に、その大小で慣用的に使い分けられている。1)

しかしながら、目安となる透水係数k=1.0×10-5m/s付近では試験法の選択が確立されていない。礫分のない試料の場合、経験的に、細粒分がない又はほとんどない場合では定水位法、それ以外の場合では変水位法で透水試験を行ってきた。礫分がある程度存在する場合でも同様の適用が出来るのか検討する必要があると考えた。そこで、本論文では細粒分含有率を変化させた試料を用いて2つの方法で透水試験を行い、その適用について検討する。

2.試験材料

本試験には、砂として豊浦砂、粘土として青色粘土(以後、粘土)を用いた。礫として9.5mmフルイを通過した骨材を用いた。表-1に豊浦砂と粘土の物理的性質を示す。

表-1 豊浦砂と粘土の物理的性
  豊浦砂 粘土
含水比w(%) 0.1 4.5
土粒子の密度(g/cm3) 2.660 2.760
礫分(%) 0.0 0.0
粗砂分(%) 0.0 0.0
中砂分(%) 18.6 0.0
細砂分(%) 81.4 0.0
シルト分(%) 0.0 46.6
粘土分(%) 0.0 53.4
最大粒径(mm) 0.425 0.075
均等係数Uc 1.4 -
曲率係数Uc' 1.0 -
透水(m/s)※ 1.26E-04 4.72E-10
※透水試験時の乾燥密度ρd(g/cm3) 1.581 1.369

3.試験条件

本試験では、試料の礫分の割合を20%又は30%に固定し、細粒分の割合を0%~15%の間で変化させた。本試験に使用した試料の粒径加積曲線を図-1に示す。

図-1 粒径加積曲線
図-1 粒径加積曲線

(1) 供試体作製条件

表-2に示す条件で締固め試験を行い、最大乾燥密度ρdmax(g/cm3)と最適含水比wopt(%)とを求めた。なお、本試験では基準乾燥密度を各礫分割合における最大乾燥密度ρdmax(g/cm3)の95%とした。

表-2 締固め試験結果
礫分割合 最大乾燥密度ρdmax(g/cm3) 最適含水比wopt(%)
砂分100% 1.581 16.4
砂分80%礫分20% 1.699 10.6
砂分70%礫分30% 1.776 10.4

(2) 供試体作製

まず、絶乾状態にした豊浦砂、粘土及び礫をよく混ぜ、含水比を10.0%に調整した。調整した試料を、10cmモールドに入れ、所定の基準乾燥密度になるように締固めた。締固めた供試体を水浸脱気法により飽和させた。脱気時間を1h程度とし、供試体内部から気泡が出ないことを確認した。各試験装置を図-2及び図-3に示す。

図-2 変水位法
図-2 変水位法
図-3 定水位法
図-3 定水位法

また、各試験前と試験後に粒度試験を行い、試料に変化がないことを確認した。例として、礫分30% 砂分55% 細粒分15%の試料の粒度分布を図-4に示す。

図-4 試験前後の粒径加積曲線
図-4 試験前後の粒径加積曲線

4.試験結果

礫分を20%に固定した試料の透水試験結果を図-5に、礫分を30%に固定した試料の透水試験結果を図-6に示す。これらの試験結果から、細粒分がわずかにでも入ると透水係数k(m/s)が大きく低下することがわかる。また、細粒分が入ると透水係数が指数関数的に減少することがわかる。

図-5 透水試験結果(その1)
図-5 透水試験結果(その1)
図-6 透水試験結果(その2)
図-6 透水試験結果(その2)

次に、Creagerによる透水係数の推定と礫分20%に固定した試料の透水係数との比較を図-7に、礫分30%に固定した試料の透水係数との比較を図-8に示す。「Creagerは20%通過径D20(mm)から透水係数を推定した。」2) Creagerの透水係数の推定と本試験の結果を比較すると、Creagerによって推定された透水係数は20%通過径の増加とともになだらかに増加していくのに対し、本試験の結果では透水係数は20%通過径の増加とともに急激に増加していくことがわかる。これは、本試験に使用した豊浦砂が分級された砂であるために20%通過径の変化が少ないからだと考えられる。

図-7 Creagerの透水係数との比較(その1)
図-7 Creagerの透水係数との比較(その1)
図-8 Creagerの透水係数との比較(その2)
図-8 Creagerの透水係数との比較(その2)

5.結論

細粒分含有率が0%~15%の範囲では両試験法の結果に大きな差異は見られない結果となった。

6.考察

細粒分が少ない場合には変水位でも定水位でも同等の試験結果が得られる。細粒分含有率がどの程度の割合になると変水位と定水位に顕著な差が見受けられるのかを検証する必要がある。

7.今後の課題

基準乾燥密度を変化させた場合や供試体寸法を変化させた場合にも同様の結果が得られるかを検討する必要がある。また、均質な供試体を作成することが重要となるので供試体作製方法の検証が不可欠である。

《引用・参考文献》
1) 地盤工学会:地盤材料試験の方法と解説,pp449-461,2009.11
2) 地盤工学会:土質試験 基本と手引き (第二改訂版),pp91-102,2014.2

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