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組合情報・ニュース
特別編
「関東の地盤を知ろう!」改訂版
土橋です。皆さん!コロナ予防や熱中症対策など、ご自身やご家族の健康管理及び会社の労務健康管理などで厳しい対応が続く毎日をお過ごしのことと思います。暑苦しい夏季に突入して、仕事や勉強の能率が低下する時季となりました。皆さん気をつけて頑張りましょう!!さて、今回は、「空君の液状化実験特集」をドーンと紹介いたします。では、マリコさんお願いします!!!
関東です。こんにちわ!今日は、「空君」の液状化実験です。皆さん期待されているものと思いま―す。まず、用意する器具などを紹介しますね。
- ★1:アクリル製の水槽(縦30㎝・横60㎝・高さ25㎝)
- ★2:細砂(豊浦珪砂:山口県産、一袋45㎏で¥14,000円程度)10㎏程度
- ★3:水7リットル程度
- ★4:硬質塩ビパイプ及び構造物模型、杭模型や建設用車両など
なお、振動載荷の方法は、組合の職員2名で「水槽の押し引き」を繰返す方式とします。 - それでは、「空君」今日は君が主役だからね!! 大森係長!何か必要な機材はありますか―!
そうだね。大丈夫と思うけど。よく言えば、振動載荷の方法がどうかな―。お互いが押し引きする場合では、なかなか液状化しないのでは?そういえば、空君のお母さんはダイエット中だったね。「空君」!!お母さんは今、家にいる?「空君」のお母さんは、健康オタクだから、人が乗るタイプの振動マシ―ン持っているかもね。家で見たことある?
うん。大森のお兄さん!何かお母さんに頼むの?
今日は、どこにも行かないと思うけど。そういえば、お母さんがブルブルやっているのを見たことあるよ!!どうすればいいの?
「空君」悪いけど、お母さんに今日、その振動マシ―ンを貸してもらえないか聞いてくれない? 今回の実験では大変重要となる機材になると思うので、「空君」是が非でも借りてもらえないかい!!
大森係長!では空君と一緒にお願いしてきます。よかったら、借りてきますからね。
じゃあ、空君!君のお家に行きましょう!
土橋です。どうやら、マリコさんは、空君のお母さんに「振動マシーン」をお借りしてきたようです。「振動マシーン」を使うなんて大掛かりな実験になりそうですよ?
ちなみに、「空君」のお母さんが持っている振動マシーンは、「DOCTOR AIR(3Dスーパブレードスマート)」って機種だそうですよ。すごそうな機械ですね。
関東さん!地震で被害が生じる卓越周波数は、おおむね、0.5Hz~5Hz で、特に1Hzから2Hz付近が多いと思うけど。この振動マシ―ンは、最小が492回/分、最大が996回/分の振動だそうだよ。最初の数秒は、「ランダム(不規則波)」駆動で、その後一定振動になるって。複雑なメカになっているね。簡単に振動数を計算してみるとどうなるかな?
f=X/T f:振動数(Hz)、X:振動体を揺する回数、 T:振動するのに要する時間(秒)
最小492回/60秒だから、X=492とT=60をfに代入すると、f=492/60=約8Hzとなる。液状化現象などの被害を起こす卓越周波数よりかなり高速振動となるから、「砂が飽和していたら、すぐに液状化するね」。
ちなみに、振動数は、「物が往復運動をする時、一秒間に何回往復したか」という数字のことで、周波数は、「振動による波を数えた時の数」を言うよ。つまり、振動が原因で発生する音波をもとにして測るもので、基本的には、振動数と周波数とは同じになることが多いけれど、例えば、振動がゆっくりだった場合には、周波数を測定する波が発生しないこともあるから、いつも同じになるとは言えないよ。
それでは、アクリル水槽に標準砂を高さの8割程度になるように挿入し、敷きならします。最初の状態は、図-1に示していますから、空君よく見ておいてくださいね。今回の液状化実験は、石油タンクやマンホ―ル等の建設現場での液状化を想定しています。空君は少し難しい内容かな?対象とする機材は、建設車両類(ダンプトラック、パワ―シャベルなど)、杭相当、マンホ―ル相当、石油タンク相当部材(円形中実ステンレス製で相当重量がある)の模型を用意しています。そうそう、空君!マンホ―ルの本体は、砂の下に埋まっているわよ。
マリコおねえさん!なんで家とかビルとかじゃダメなの。でも、僕はよくお父さんに連れられて近くの建設現場に見学にいくから、ダンプやブル、それから杭打機なんかは見慣れているけど。
お家やビルの模型がなかなか手にはいらなかったから、仕事場にある材料を利用することにしたのよ。それでは、空君!!実験を開始する前の状態をよく確認しておいてね。水槽には、標準砂を8割程度敷き均してから、構造物模型を静かに静置した後に、水差しボトルを使って水槽の四隅から静かに注水します。水槽内の水位は、最初の段階では標準砂層の三分の一程度で実験を開始します。そうそう、
関東さん!この程度の水位では、どうかな?まあ―やってみようか。それでは、振動マシ―ンの最小回数492回/60秒で動かします。空君!関東さん!!どうなっている?まず、水位の上昇は認められたかい?
図-1 実験開始前の状態(杭、マンホール、石油タンクなど)
大森お兄さん!模型はほとんど変化がないよ!!運搬車両が多少移動した程度。でも振動マシ―ンはすごいね!規則正しく水槽を左右に揺らしているよ。へ―。
大森係長!ほとんど変化がありません。水位は局所的に波浪のように盛り上がった箇所も見られますけど。後は、内包されていた空気がボコってぬける音がしています。変形挙動は、完全に「繰返し変形(サイクリックモビリティ―)」ですね。
そうだね。全体的には水位変化も乏しいし、変形挙動は関東さんが言うように、「繰返し変形」だね。つまり、土槽中の間隙水圧(土に含まれる間隙水の圧力のこと)の上昇はほとんど生じていないみたいだね。
もっと、水量を増してみよう!!関東さん!標準砂の表面が湿る程度に水位を上げてもらえる。標準砂の表面まで水位を上昇させた場合の模式図は、図-2に示しています。これで、模型の基礎部分は地下水位以下にあることになるよ。空君、表面部に水位がある状態の模型の概要を写真-1に掲示しているからよく観察してね。
図-2 表面部まで水位が上昇した場合の模型の概要
マリコおねえさん!水位が高くなるとどうなるの?さっきは、水位がだいぶ低かったけれど。今度は砂の表面近くまで水が来ているよ。これで振動させたらどうなるのかな??早く振動させて!!!
大森係長!今度は私に振動マシ―ンの操作をさせてください。いいですね!!先ほどと同様に492回/60秒(約8Hz)で振動しますよ。
皆さんいいですか!!ここで、問題です!
もしこれで液状化現象が生じたら、石油タンクや杭そしてダンプトラックなどはどうなるのでしょうか?次のうちどれが正解だと思いますか?
- a) 石油タンクは、重いから砂の中に沈み、杭は倒れる。ダンプトラックは、砂の中にめり込む。マンホ―ルは、砂の中に埋まったまま。
- b) 石油タンクは、重いから砂の中に完全に沈み、杭は長尺で不安定だから倒れ、ダンプトラックは、傾斜し砂の中に沈む。マンホ―ルは、多少中に水が入っていても軽いから半分ぐらい表面に浮き上がり、最終的には完全に露出し、倒壊する。
- c) 石油タンクは傾き、杭は半分以上砂に埋まる。ダンプトラックは、ほとんど変化がない。マンホ―ルは半分ぐらい表面部に浮き上がる。
マリコおねえさん!僕は、液状化現象という言葉もよくわかっていないから、全くわからないけど、a) じゃないかと思うけど。それより早く振動させて!!今度こそ期待できるよね。目を開いてよく観察しなくちゃ―。マリコおねえさんは、c)で、大森お兄さんは、b)のはずだって。
写真-1 表面部まで水位が上昇した時の実験前の状態
写真-2 加振後の初期液状化状態(水が滲出し、小型タンクは不同沈下)
写真-3 加振後の完全液状化状態
マリコおねえさん!!\(◎o◎)/!ダ―。石油タンクはすべて沈んじゃったし、杭も倒れてしまったよ。マンホ―ルは、なんと!浮き上がってきた―。大森お兄さんの答b)が正しいみたい\(◎o◎)/!なんでわかったのかな―。すごいな―。
ビックリね。大森係長すごいですね。マンホ―ルもすぐ浮き上がりましたけど。完全液状化状態では、表面には一様に水が滞留し、ダンプは荷台側が砂にめり込むしね―。
空君!!今回の液状化実験どうだった。勉強になったかい。液状化現象は、「飽和地盤中の間隙水圧が上昇し、土粒子の骨格構造を結びつけている力(有効応力)が消失して、地盤が液体のような挙動をする」現象のことです。なんとなく分かりましたね。空君、学校で発表するときは、実験装置をもっていって、関東さんたちも手伝ってあげてね。
土橋です。今回の「空君の液状化実験」いかがでしたか?皆さんの予想はあたりましたか。なお、空君は、マリコさんたちに手伝ってもらって、学校でも実験をやって見せるようです。次回は、下総層群「常総粘土層・木下層」についてです。乞うご期待して下さいね。
以上