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岩石試験を知ろう! その他特別編1
皆さん!六郷です。今回は、『「岩石試験を知ろう!!」のその他特別編1』として、岩石物性や透水性能などの研究に良く使われている代表的な岩石について、産地及び利用状況や公開されている物性値などについて紹介することにしました。皆さんも岩石だけに「硬い話」が続いて「肩も凝ってしまった」と推測されます。少し息抜きをしましょう!!
では、特別編のスタートです。 まず、「研究用の試料」の定義については、❶比較的均質であること、❷異方性が残る試料ではなく、等方的であること、❸入手しやすいこと、❹高価ではないことなどが要求されるものと考えられますね。
六郷課長!!この条件で比較的簡単に入手できる岩石試料には、どんな種類がありますか? まず、関東地方周辺ではどんな岩石の種類があるのかしら。
蒲田さん!おそらく小松石(安山岩)あたりじゃない。あるいは、大谷石かな?私は、神奈川県出身なので、真鶴で採取される「本小松石」が推しよ。なんといっても江戸城の石垣に使われた代物だから。Well, I am a know it all!! So, I have improved at least.The stone walls of Edo-jo Castle are very high and beautiful.
山王係長!!小松石や大谷石など良く知っていましたね。岩石物性の研究に良く登場する岩石といえば、花崗岩では、「稲田花崗岩(茨城県)」、「大島花崗岩(愛媛県)」など、砂岩では、「来待砂岩(島根県)」、「多胡砂岩(群馬県)」、「白浜砂岩(和歌山県)」など、凝灰岩では「田下凝灰岩(栃木県)」、「大谷石(栃木県)」、「萩野凝灰岩(福島県)」などが良く知られていますね。表-1には、代表的な岩種と岩石名とをまとめています。また、表-2には、稲田花崗岩の一軸圧縮強さのデータも一部集めています。他にもまだまだありますけど。
表-1 研究用の代表的な岩種と岩石名一覧
表-2 稲田花崗岩(一軸圧縮強さ)一覧
では、花崗岩と言えば何を思い浮かべますか?
そうです、茨城県笠間市の「稲田花崗岩」ですね。稲田花崗岩は、「白い貴婦人」と呼ばれ、「品のある白さ」が大きな特徴になっています。構成鉱物は、長石64%、石英33%、黒雲母3%程度で長石が6割以上を占めています。現在、採掘している会社は6社ほどとの話です。そのうちの1社(株)想石(そうせき)さんでは、採石場を活用した「観光事業」にも力を入れていて、採石場(丁場)の跡地に、雨水や湧水が溜まり、深い緑色をたたえた神秘な湖が出現しており、観光客が押し寄せているとの話です。写真-1 には、採石場と採石場跡地(石切り山脈)の神秘な湖とを紹介します。なお、「石切り山脈」とは、東西約10㎞、南北約5㎞、地下1.5㎞にわたる岩石帯で、日本最大級の採掘場所として知られています。稲田花崗岩は、約6,000万年前に貫入した貫入岩とされています。
写真-1採掘場全景((株)想石資料)
写真-2 石切り山脈と神秘な湖((株)想石資料)
写真-3 白い貴婦人出現(Wikipedia)
白い貴婦人=私、山王係長(White Lady)=幽霊なんて!!山王係長が幽霊だったなんて、本当にびっくりですね!それでも、私は、「色黒」だからわからないけど!山王係長は色白でいいですね!! 使われている建物の話は、多分地元の役所の建物なんかでは?話が変わりますが、一軸圧縮強度はどのぐらいの値なのでしょうか?
稲田花崗岩の石材としての使用例は、まず、東京駅、三井本館、東京証券取引所本館、明治神宮、日本橋、笠間稲荷神社、茨城県庁などの有名な建造物(★1)に多く使用されているようですよ。山王係長!残念ですが「迎賓館」ではないようです。迎賓館赤坂離宮の外壁は、同じく茨城県真壁の「真壁花崗岩」が使われているようです。また、日本橋では、4種類の花崗岩が使用されており、徳山花崗岩、北木花崗岩、真壁花崗岩と稲田花崗岩で、アーチ部と路面部とについては、稲田花崗岩が使用されているようです。(★7)
では、岩石物性を眺めてみましょう。花崗岩類の中で、最も高い強度を示すのは、「姫神小桜石」と呼ばれている花崗岩で、261MPa程の高強度を有しています。一方、「稲田花崗岩」は、147~205MPa程度で、平均的な強度は約176MPa付近と推測されます。
ところで、「姫神小桜石」は、岩手県盛岡市玉山区の姫神山の中腹で採掘されているようですね。「淡い桜色」の花崗岩で、『岩手の気候と風土ともマッチしており、厳しい寒さの中で「春を待つ桜のような優しさと気品とが漂っている」と地元でも熱い視線を向けている』そうです((有)石のヤマカタから引用抜粋、写真-4も同社資料)。
岩手県玉山区渋民は、あの有名な詩人である「石川啄木」の生誕地(南岩手郡日戸村)として知られています。啄木の歌集「一握の砂」の中には、皆さんご存じの
写真-4姫神小桜石
写真-5石川啄木が愛した姫神山遠望(はやしばら(有)資料)
写真-6 啄木歌碑(★1)
写真-7 盛岡駅前「新戸部稲造(武士道で有名)」銅像(★1)
なお、写真-6の石川啄木記念館前の啄木の歌碑に書かれたのは次の歌ですよ!
写真-8 大島石(★9)
六郷課長!!花崗岩は、色も色々あるのですね!白い貴婦人や青い貴婦人、桃色貴婦人かー! すてきね!山王係長!
そうね!私は、やはり青より「純白の貴婦人」の方がいいわね! 六郷課長!!こんなに花崗岩類は古くから色々な構造物に利用されているのですか!!そうそう!「巨石文化の里」奈良盆地の明日香村の巨石構造物は、どうなのでしょうか?
使用されている石は、もしかして花崗岩類かしら!
山王係長!良いところに気がつきましたね! 明日香村には使用用途が全く分からない、様々の巨石がありますね。例えば、石舞台をはじめ(★8など)として、亀石や酒船石、益田岩船、須弥山石などが代表的な巨石構造物ですね!その他もありそうですが。 おそらく、奈良盆地高市郡明日香村周辺部であれば、花崗閃緑岩、石英閃緑岩、あるいはトーナル岩などが該当するのではないでしょうか!これらの巨石は相当な重量ですので、現地で採掘・加工したものと推定されます。酒船石は、斉明天皇の祭祀施設として使用されていたのではないかとする説が有力だそうですね。また、須弥山石(しゅみせんせき)は、南方の外国使節や蝦夷(えみし:大和朝廷への帰属を拒否していた東北・北海道に住む集団)の接待のための道具としての役割を持つ噴水として使われたとの説が有力です。
特に、石舞台古墳は、7世紀の初めに築造された両袖式・横穴式石室を有する方墳、または上円下方墳とされていて、我が国最大の巨大な石室として貴重な建造物であり、「蘇我馬子の墓」ではと言われていますね。
写真-9 石舞台古墳(ヒストリアンベル資料)
写真-10 亀石(★10)
写真-11 酒船石(★11)
写真-12 益田岩船(★12)
写真-13 須弥山石と石人像(飛鳥時代重文:★13 )
(1)日本石材工業新聞「いしマガ」,日本石材センター(株).
(2)山口梅太郎・西松裕一:「岩石力学入門」(第2版),東京大学出版会.
(3)稲田石材商工業協同組合資料.
(4)羽柴公博・福井勝則:岩石の力学的物性値の相互関係,骨材資源,通巻No.182 ,2014.
(5)林為人・大田恭史・高橋学・杉田信隆:花崗岩の圧縮強度と変形特性に及ぼすひずみ速度の影響,資源と素材,Vol.118, 2002.
(6)林為人・中村敏明・高橋学:稲田花崗岩の熱特性、超音波速度、強度及び変形特性の異方性,応用地質,第44巻,第3号,2003.
(7)株式会社想石資料.
(8)PUBLIC RELATIONS OFFICE GOVERNMENT OF JAPAN :多様性あふれる日本の石(愛知大学・西本昌司教授談話).
(9)矢橋大理石(株)資料
(10)pict-history.com.
(11)plaza.rakuten.co.jp.
(12)Wikipedia.
(13)isle-bd.com. など
以上
